2006年07月26日

『ムッソリーニ―ファシズム序説』木村裕主 著 清水書院

『ムッソリーニ―ファシズム序説』木村裕主 著 清水書院

ムッソリーニについて、イタリアのファシズムの歴史に興味をもった方へおすすめの入門書。私のような初心者にはうってつけの本でした。この本はムッソリーニの誕生から死までが簡潔にまとめられており、これを初めに読んでおけば、その後専門書に進むことができると思います。

えーえー、はるか遠い昔、受験では世界史を専攻したにもかかわらず、私が使用していた世界史教科書には意外とイタリアファシズムの記述は少なかったんですよね。

チャップリンの名作『独裁者』にムッソリーニとヒトラーがお互い自分のほうが偉いんだと張り合ってイスをどんどん高くするというシーンがありましたね。
それが私のムッソリーニのイメージのすべてでした。

そもそも、私がムッソリーニについてもっと知りたいと思った理由は、「ファシズム」という言葉の由来がイタリア語の「ファッショ=束ねる」から来ているという世界史用語集の解説を読んだからでした。

イタリアって不思議な国で、ファシズムを生んだかと思えば、戦後西側ヨーロッパ諸国の中で一番共産党勢力が強く(その辺の理由もこの本を読めばわかります)初めて共産党を政権に取り込んだりしている。一見、ギャップがあるようでいて、実はそれは底辺で繋がっていて、その歪みが戦後モロ首相の事件に繋がるということも、なんとなく把握することができたように思います。

とはいえ、新たな疑問が生じる。日独伊三国軍事同盟だったはずが、戦後連合国から戦犯として裁かれたのはドイツ(ニュルンベルグ裁判)と日本(極東軍事裁判)だけで、あれ、イタリアは?
国内のパルチザンがムッソリーニ政権を制圧したから、(いや米国がシチリアから上陸したのとどっちが先?)ドイツや日本のように最後まで戦って無条件降伏したのとは違うからですか? ということはムッソリーニの政権下で甘い蜜を吸ったような連中は戦犯として裁かれてないの?
とかこの本を読んでも残る謎はあるわけですけど・・・そしたらもっと他の本で勉強していこう。

しかし、私がこの本に感動したのはその簡潔な内容だけではありません。著者の木村氏は1926年生まれで日本の戦争を体験した世代です。「新聞記者になったのはあの戦争を二度とおこさないため」という信念をお持ちの方で、その信念がこの本に終始貫かれている点が素晴らしいと思いました。

・・・・国家とは国民がいてはじめて成り立つ。つまり国のためということは、具体的な国民のためでなければならない・・・

そんなわけで、620円でこの内容。まさに1家に1冊の本です。

と、書いたところでなんとアマゾンでは893円!私が持っているのは1996年の第1版なのですが、10年の間に200円の値上げですか・・・





posted by マヤ at 16:15| Comment(3) | TrackBack(0) | イタリアを知るための本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは面白そうな本ですね。早速探してみます。
同じ著者の『ムッソリーニを逮捕せよ』はお読みになっていますか?
いかにファシズムで束ねようとしても、イタリア国民を束ね切ることが出来なかったかが分かります。
それが、タヴィアーニ兄弟の『サン☆ロレンツォの夜』で見られるように、ご近所同士で連合国側とドイツ側に分かれて戦う悲劇につながった分けでもありますが。
Posted by なつ at 2006年07月27日 00:58
そうそう、『ムッソリーニを逮捕せよ』は未読ですので、是非読みたいと思います。

ご近所同士で連合国側とドイツ側に分かれて戦う悲劇・・・
日本ではありえない話ですね・・・いやいや。
Posted by マヤ at 2006年07月27日 14:50
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Posted by カシオ デジタル at 2013年08月03日 13:34
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