2006年05月30日

向かいの窓 La finestra di fronte

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この構図をみてキャンディキャンディのテリーとキャンディを思い出してしまうのは年齢ばれますか?


あらすじ ジョヴァンナは2人の子供をもつ母親。大好きなケーキ作りを仕事にしたいという夢はもっているが、家族の世話に追われる毎日を過ごしている。そんな彼女は自分の家の向かいに住むハンサムな男性に、心を動かされていた。彼のことを考えるときだけが、彼女が現実から逃れられる瞬間だった。

レビュー
写真だけみると不倫のお話みたいですけど、実は重要な役割を果たすのは、道端で出会った記憶喪失の老人シモーネです。彼の素性と過去が明らかになる過程が、人生に迷う主婦の物語にちょっとしたミステリーの要素を加えていて目が離せません。そして彼との出会いにより、主人公も新しい一歩を踏み出そうとするが・・。

マッシモ.jpg

それでハッピーエンドとならないところがこの映画のいいところです。
特に、本作が遺作となってしまったシモーネを演じるマッシモ・ジロッティが素晴らしいです。

『心の中の獣』で2005年ヴェネツィア映画祭主演女優賞を受賞したジョヴァンナ・メッツォジョルノ主演の2003年の映画です。主人公が思いを寄せるハンサムな銀行員を演じるのは『トスカーナの休日』のラウル・ボヴァ。
メッツォジョルノはこの作品と『心の中の獣』しか観ていないので、あくまで私の印象ですけど、「哀しそうな顔」の持ち主ですね。マヤ・サンサみたいに笑うと周囲の人まで笑顔にしてしまうような魅力ではなく、泣き顔の女王とでもいいましょうか。満面の笑みより、はにかんだ表情の写真が圧倒的に多い。大きな青い瞳もグレーがかっているし、暖色より寒色の似合う人だと。とはいえ1974年ローマ生まれなんですけど(笑)。なんか幸薄そうな雰囲気をかもし出す女優さんだと、だから、コメンチーニ監督が、『心の中の獣』で幼少期のトラウマに苦しむ女性役に彼女を起用したのはすごく納得できます。
ついでに、うちのいとこに面影が似ており、いとこのことをふと思い出してちょっと親近感を覚えてしまいました。(うちのいとこって純粋な日本人なんですけど、美人なんです、はい)
オズベテク監督はトルコ系の移民です。その作風はイタリアにおけるアン・リーのようだと思います。西洋社会に飛び込んだオリエンタルな異邦人。だから、彼の作品の登場人物たちは社会の王道、主流ではない人たちです。主人公がイタリア人でも同様。且つ、主人公を取り巻く人たちがとても魅力的に描かれる。工場で働く同僚や、隣人でもあるトルコ人女性など、その人たちへの監督のまなざしが優しい。私はこの映画の中で、奥さんが自分との生活に満足していないことに気がつきながらも、何もすることができず一人台所で泣く夫に、ぐっときました。
これって、『ブロークバックマウンテン』で、旦那が男と関係があると気がついた妻の心情を細やかに見せるアン・リーのまなざしと同じじゃん。
そこが私がオズベテク監督作品を好きなところです。

オズベテク.jpg
演出中のオズベテク監督

この映画も、2006年のイタリア映画祭で上映された『聖なる心』もラストは女性の微笑みで終わりますね。ハッピーエンドでもない、主人公の悩みは晴れたのかどうか、問題は解決したのかどうか、曖昧です。けど、悲劇でもない、そして日常は続いてゆく、そんな終わり方です。白黒はっきりつけない絶妙な演出だと思います。(余談ですが、これはイラン映画をみたときに受ける印象に近いです。イラン映画はかなり唐突に終わる傾向があり、なにかの映画祭で観客からそれを指摘されたある監督は、現実というのは白黒つけられないから、こうだというふうに観客に答えを提示しないという答えをしていて非常に興味深かったです)

食肉工場でトルコ人労働者たちと働くイタリア人主婦にしては、メッツォジョルノが「超」がつく美人であることに違和感はありますけど、小柄なせいか(と思っていたら168cmとプロフィールにあるんですけど、うそーそんな大きくないよね)周囲を圧倒する美という感じでないのがいいのかもしれません。声も低くてボソボソしゃべるのもなんだかいい感じです。

オズベテク監督はたぶん3年前のイタリア映画祭にゲストとして来日してくれたと思います。
座談会を聞いた記憶があるのですけど、メモをとっていなかったし、ほとんど覚えてないのが悔やまれます。が、ウル覚えながら自分がトルコ人だからといって映画をとるにあたってやりにくさを感じたことなど一度もないと話していた記憶が。(自信がないけど)
今となっては、そのときの話をもっと真面目に聞いておくんだったとチト後悔。
でも、そのとき私は彼の映画を理解できる精神レベルに達していなかったから、きっと聞いていてもわからず、彼の言葉が心に残っていなかったのかなと今となっては思ったり。


そう、この映画も、『聖なる心』も、悪人がひとりも出てこなかったな。そういう意味でもこの映画はとても好きな一本です。
日本未公開なのにこの映画を放映してくれたシネフィルイマジカさんに感謝です。

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監督 フェルザン・オズペテク Ferzan Ozpetek
出演 ジョヴァンナ・メッツォジョルノGiovanna Mezzogiorno .... Giovanna (劇中もジョヴァンナなんです)
マッシモ・ジロッティ Massimo Girotti .... Simone/Davide Veroli
ラウル・ボヴァ Raoul Bova .... Lorenzo
フィリッポ・ニグロ Filippo Nigro .... Filippo(こちらも本名と同じ役名)

製作年 2003
製作国 イタリア=イギリス=トルコ=ポルトガル
上映時間 105分

2003年 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞 最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞(マッシモ・ジロッティ)、最優秀作曲賞受賞


posted by マヤ at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | フェルザン・オズベテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月26日

明日のパスタはアルデンテ Mine Vaganti

このタイトルどうにかなんないもんでしょうか。



タイトルだけで見る気がうせるんですけど、オリジナルのMine Vaganti は浮遊機雷という意味だそうです。主人公の兄弟のことですね

明日のパスタ1.jpg

フェルザン・オズベテク監督の映画なので、とても期待してしまったせいか
正直イマイチでした。

と、いいますが、オズベテクはこうした軽いコメディを余生を楽しむように撮る監督になってしまったのでしょうか。個人的にはがっかりです。私は『聖なる心』のような作品のほうが好きです。

ただ、一緒に見た方は、「おもしろかった」と言っていたので、オズベテクにそれほど思い入れがない方が、さらっと見る分にはそれなりに楽しめます。

ストーリーは、ゲイであることを隠していた青年が家族にカミングアウトすることで起こるコメディなんですが、どうやらそれが世代を超えた愛の物語にもつながる、、というのがオズベテクの調味料で、あとはよくみるイタリアの家族の物語でした

明日のパスタ2.jpg

音楽がよいそうです。マドンナが絶賛したとか。イタリアンポップス好きにはさらにうれしい作品のようです。

みどころは、女の子をキャーキャー言わせてるはずのリッカルド・スカマルチョがゲイをやっているところかな。ちょっと太って、なよなよしているスカマルチョを楽しめますので、かっこいい彼を見たい人には残念ですが、意外に演技者ぶりを見れるのもいいかと。

明日のパスタ3.jpg

でも彼、もう30歳になるんですよね。もうアイドルじゃないですね

あとはレッチェ。中村俊輔がいたレッチェね。美しい南部の町並みが楽しめました。l

明日のパスタ4.jpg


イタリアは風景とるだけで、なんとかなるからずるいよ(笑)


明日のパスタはアルデンテ http://www.cetera.co.jp/aldente/


posted by マヤ at 07:09| Comment(0) | TrackBack(0) | フェルザン・オズベテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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