2006年04月01日

トスカーナの休日(UNDER TUSCAN SUN)

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イタリア映画じゃないんですけどね、番外編。
題名のごとく美しいトスカーナも楽しめますし。

女性監督オードリー・ウェルズによる初のメジャー監督作。
原作は、女性作家フランシス・メイズの『イタリア・トスカーナの休日』。オードリー・ウェルズは脚本まで担当していますから、なにかしら主役の女性と重なるところがあったのでしょうかね。DVDのメイキングでインタビューに答えいますけど、美しい人です。女優さんでもいけます。
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えーえー、まあ、だいたい30独身女がイタリアに憧れるっていうのは、世界共通ってことなんですよ、えーえー。この映画を許せない男性諸氏、この映画を「イイ!」と絶賛する女子を許してやってくださいよ。えーえー。イタリアを舞台にした名作へのオマージュもちゃんと捧げているし。

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『ローマの休日』のヘプバーンが着ていた衣装ってこんなだったよね

しかも、最高に美しいイタリア男ラウル・ボヴァが出てくるんですから、トスカーナの風景とともに、目の保養になるってもんです。しかも名前がマルチェロ・・・、まんまじゃん!なんのひねりもないところも笑っちゃいます。ラウル・ボヴァってもしかしてコメディセンスがあるんじゃないでしょうか。私がこの映画で一番笑ったのは、マルチェロがフランシスに(勝手にイタリア語読みのフランチェスカにいいかえてるのも笑った)いうくどき文句ですよ。

You have a beautiful eyes. I want to swim inside them.
え? 君の瞳の中で泳ぎたいですって?
・・・・・・・・・・・・わはははははは・・・・・・・・・

いまどきこんな台詞オースティン・パワーズでもいわないだろーに

でも、ね、ラウル・ボォバは本当に水もしたたるいい男ですから、いいんですよ。おかしくないですよ、歯の浮くような台詞もね。

が、ここでひとつ付け加えないといけません。

彼のプロフィールを読んでみたら、なんと!水泳選手だったんです。しかも16歳のときにイタリアのジュニア大会で優勝しているほどの実力の持ち主。正真正銘、将来を嘱望されたスイマーだったという。。。が、なぜ俳優に・・・ええ、こんなハンサムなら俳優でもモデルでもなんでもやってくださいよ。
おそらく、それをパロディにした台詞ではないかと。
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ワンコになりたい


それに、その後彼との海岸でのキスシーンの背景が、めまぐるしく変化して昼からサンセット、ついには満天の星空に変わったりするの、いやあ、30過ぎの女の妄想って本当にこわいですね(苦笑)。あそこは心から爆笑しました。

このラウル・ボヴァ、『エイリアンVSプレデター』に出演したようですね、さっそく見なくちゃね(苦笑2回目)。
また『向かいの窓』(イタリア映画祭2004で上映)という映画で、『私の心の中の獣』でヴェネツィア映画祭主演女優賞を獲得したジョヴァンナ・メッツォジョルノと共演しています。眼鏡かけて美しい顔を隠しているんですけど。それでも美しいのが隠せないところが素晴らしいです。

彼については結構詳しいトリビアを見つけたので、また別の日に。

と、肝心の映画についての解説が全くないまま(淀川長治さんが日曜洋画劇場で、しょーもない映画のとき、俳優の話しだけしたのを真似てみました)、今日は失礼いたします。

あ、でも普通に楽しめる映画でしたよ。


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このワンピースは素敵でした。髪型は『旅情』のキャサリン・ヘプバーン風

おっと、最後にひとつだけ気になったことを。
ウィーンとヴェネツィアを結ぶ鉄道を走らせるためにレールを敷いたという話がでてきました。2つの国にまたがる架け橋という意味で映画に使っていましたが、それってどうよ?おそらく、ヴェネツィアがオーストリア(正確にはオーストリア・ハンガリー帝国)の支配下に置かれていた19世紀に引かれたレールでしょう。その後イタリア統一運動(リソルジメント)によりヴェネツィアは、オーストリアと戦ってその支配下から脱し、イタリア王国に編入される。それで国境を越えた鉄道の建設がストップしたのではないかな、と思うのです。それが人と人を結ぶ心の橋というたとえで使われていたのは、誤った解釈以外のなにものでもないと思いました。

【参考サイト】
オフィシャル・サイト(英語)http://tuscansun.movies.go.com/main.html
オフィシャル・サイト(日本語) http://www.movies.co.jp/tuscan/index.html
ラウル・ボヴァ公式サイト http://www.raoulbova.it/

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『トスカーナの休日』(アメリカ、2003、113分)
監督&原案&脚本(うわぁ、力入ってますね): オードリー・ウェルズ Audrey Wells
原作: フランシス・メイズ Frances Mayes  『イタリア・トスカーナの休日』(早川書房刊)
撮影: ジェフリー・シンプソン Geoffrey Simpson
音楽: クリストフ・ベック Christophe Beck
 
出演: ダイアン・レイン Diane Lane フランシス
サンドラ・オー Sandra Oh パティ
リンゼイ・ダンカン Lindsay Duncan キャサリン
ラウル・ボヴァ Raoul Bova マルチェロ
ヴィンセント・リオッタ Vincent Riotta マルティニ
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2006年03月22日

3月25日よりロードショー『リトル・イタリーの恋』

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【あらすじ】
1950年代のオーストラリア、イタリア移民居住区を舞台にしたラブファンタジー。南イタリアの海辺の村でロゼッタ(アメリア・ワーナー)は1通の手紙を受け取る。オーストラリアに住むイタリア人青年アンジェロ(ジョヴァンニ・リビジ)
からの結婚の申し込みの手紙。しかし同封されていた写真は地味なアンジェロとは正反対のハンサムな弟ジーノの写真だった。
ロゼッタはジーノをアンジェロと思い込み、遠く離れたオーストラリアにやってくる。

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【解説】
『シャイン』『君に読む物語』の脚本家、ジョン・サルディの初監督作。『きみに読む物語』も『シャイン』も、純愛映画ですよ。
今どきこんなクラシックな心温まるストーリーを書くとは、この監督はきっと古風な家庭で両親の愛情をいっぱいに受けて育ったに違いありません。か、全然逆でこういう話を書いてるのかどっちか。
50年代という設定は監督のおじいさんの時代のことだそうですが、オーストラリアに初めてエスプレッソマシンが届いたのは監督が5歳の頃の実話。
そんな自分のルーツへの愛と敬意が溢れている、ほんとにほほえましくてほんわかした気分になるおすすめの作品ですよー。デートムービーにも最適です。
なんたって原題がLOVE'S BROTHERなんですから、原題もかなりベタですね。いーんですよ、いーんです。こーゆーアモーレな映画大好きです。

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右がアダム<おとうと>ガルシア、左はジョヴァンニ<にーちゃん>リビジ

この映画の注目点はこれから人気が出そうな若手俳優が出ているところです。
ハンサムな弟ジーノ役のアダム・ガルシアは、73年シドニー生まれ。本国ではミュージカル俳優として大人気らしく、『グリース』の舞台ではジョン・トラヴォルタの再来と絶賛されたという。ジュード・ロウやオーランド・ブルームも出演していた『オスカー・ワイルド』で映画デビューを果たし(全然記憶にない。どこにいたんだ?)その後『タップドックス』に主演、『コヨーテアグリー』でハリウッド進出済み。
ガルシアという名前からしてイタリー系よりもスペイン系のような気がしますけど、ヘイデン・クリステンセンの髪の色を黒くしたような甘いマスクで、長身で歌と踊りができるなんて神様は不公平ですよ。
本当に映画の最初から最後まで「きれいな顔してるわねー」と惚れ惚れしてました。
どうしてもイケメンを熱く語ってしまいますけど、彼と相性抜群の美少女についても触れておかないと。こちらは黒髪だからラテン娘かと思ったらなんとイギリス人のアメリア・ワーナー。

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ナタリー・ポートマンのような品のある美しさで、お伽話みたいのプリンセスのような役にピッタリです。
ふたりともイタリア人じゃないところが面白いですね。

とはいえ、アメリア・ワーナーはコリン・ファレルと01年に電撃結婚し、4カ月でスピード離婚した経歴の持ち主。
かわいい顔と裏腹な素顔の持ち主のようで、実は現在公開中の『イーオン・フラックス』にシャーリーズ・セロンの妹役で出演してるんですが、全然似てない上に、スタイルもサイボーグのように完璧なセロンと並ぶと見劣りして、髪型もヘンなせいかイマイチなんですよ。この映画では、本当にキラキラ輝いているんですけどね。

さて、遅ればせながら主役アンジェロを演じるジョバンニ・リビジはイタリー系。ケイト・ブランシェットと共演した『ヘブン』の警察官が素晴らしかった。オーストラリア移民としてなまった英語を話しているんですけど、なんだかその英語、すこし訛りすぎで、作りすぎじゃないですか?
もてない感じを一生懸命かもし出してるのはわかるけど、もっと自然でもよかった気がします。
兄弟思いのところがステレオタイプなイタリアらしくて(笑)楽しめました。


この映画のツッコミどころとしては、

(ココからネタバレ注意)ロゼッタは運命を感じたとかいって、結局は顔で選んでるだけだろ!っつーところと、
女の視点からすると、一度弟とあんなにラブラブだった時期があって、その次にその選択・・・ありかい?
だって後々、顔合わして気まずくないか、というしょーもなく現実的なこと考えてしまうわけですよ。
えーえー、おとぎ話に真面目にツッコミ入れるなんて楽しみ方をわかってないですね。

(ネタばれ以上)

まあ、こんなこと考えたらこの話は楽しめません。あくまでお伽話ですから、ラストもお伽話として素直に感動しましたよ。
久々にさわやかな映画観ました〜。
オーストラリアの原っぱはとっても殺風景で、ロゼッタの故郷イタリアの街並みの重厚な雰囲気と好対照でした。
南イタリアという設定ですが、実際にロケしたのはCivita di Bagnoreggioというローマの北に位置する村だそうです。
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対するイタリア人居住区は、メルボルンから北西に約120kmのデイルスフォードとヘップバーン・スプリングス。特に後者は1880年代からのリトル・イタリーの歴史をもち、当時の建物が多く残っているという。

ついでにエンディング曲『嵐の彼方に』を歌うのは、テノール歌手マルセロ・アルバレスとサルヴァトーレ・リチートラ。
こちらはふたりがデュエットというアルバムで共演したときのジャケ写真jacket_m.jpg


私の採点:★★★(4つでもいいくらい、ふつーに楽しめるオススメ映画です、ほら、公式サイトでは琴欧州もハッピーになったって・・・だからなんなんだ)

3月25日(土)より シャンテシネにてロードショー(以降順次全国公開)

【参考サイト】
日本語公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/little-italy/
公式サイト英語:http://www.lovesbrother.com/
アダム・ガルシア公式サイト:http://www.adamgarcia.com/


サウンドトラックも発売されています。






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2006年02月27日

ふたりのトスカーナIL CIELO CADE

またサボりクセが復活してきたようで、頑張ります・・・

ふたりのトスカーナIL CIELO CADE(2000、102分)

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【あらすじ】
原作者のロレンツァ・マッツェッティが61年に発表した自伝『天が落ちてくる』を映画化。
第2次世界大戦中、両親を交通事故で失った二人の姉妹ペニーとベイビーは、伯父夫婦の家庭に引き取られる。音楽と芸術を愛するユダヤ系の伯父アインシュタインは、周囲から尊敬を集める紳士だった。美しく優しいケッツェン叔母さん(イザベラ・ロッセリーニ)の愛情にも守られ、姉妹は楽しく毎日を送るのだが、ナチスの影が徐々に家族に迫ってくる。

【解説】
この映画の展開は『ライフ・イズ・ビューティフル』や『僕はこわくない』によく似ています。最初からほのぼのと、ゆるやかに進行して、ラスト5分くらいで急転。3作とも児童映画というのはただの偶然か。いや、イタリア映画って結構ラストが残酷ですよね。去年のイタリア映画祭で上映されたアガタと・・・もコミカルに話が進んだなと思ってたらいきなり悲劇が待っていた。そのことを観客から聞かれた監督は、「現実というのは残酷なものだから」と言っていたっけ。人生を謳歌しているように外からは見えるこの国の人たちの現実的なある意味冷酷な冷めた感覚に時々驚かされます。
女の子がとにかく可愛い。伯父さんを助けようと、少女たちがナチス将校をお茶でもてなす場面や、ピアノの伴奏に合わせて踊るシーンの愛らしいこと。ほかの登場人物もみんな愛嬌があって、豊かなトスカーナの緑の風景とあいまって心にしみる作品に仕上がってます。
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だって可愛いんだもん

演技を絶賛されたという気品あるイザベラ・ロッセリーニももちろん素敵ですが、周囲の人たちから尊敬を集める伯父さんを演じるジェローン・クラッベの醸し出す雰囲気も役にぴったり。誰もが素直にこの映画の世界に入っていけるのではないでしょうか。

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イタリアのマンマというより、マダムですね。

ちなみに、脚本を手がけているスーゾ・チェッキ・ダミーコは、『自転車泥棒』から『ミラノの奇蹟』ほかヴィスコンティのほぼすべての作品の脚本を手がけた大脚本家です。が、この名前は男性みたいなのはどうしてですかね、この方は女性です。

さて、映画の内容とは関係ないのですが、ふと、イタリアにはアメリカ軍は空爆をしなかったのかぃ?と疑問が。シチリアから上陸して北上してゆく途中で結構激しい戦闘はあったはずなのに(そこらへんは『パットン大戦車団』観てね)、トスカーナは戦争末期だってのに、ずいぶんのんびりしてますね。イタリアと戦争したのではなく、ナチスと戦っていただけだから?
しかし、ドイツのドレスデンはすごい空爆してたよね。日本に雨あられのように焼夷弾を落としたのとずいぶん違うじゃないか。一応日独伊三国同盟だったはずなんだが。
と、映画とは関係ないことが気になりました。


採点:★★★(大傑作じゃないけど、大好きです)


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監督: アンドレア・フラッツィ Andrea Frazzi &アントニオ・フラッツィ Antonio Frazzi
原作: ロレンツァ・マゼッティ Lorenza Mazzetti
脚本: スーゾ・チェッキ・ダミーコ Suso Cecchi d'Amico
撮影: フランコ・ディ・ジャコモ Franco Di Giacomo
音楽: ルイス・バカロフ Luis Bacalov
出演: イザベラ・ロッセリーニ Isabella Rossellini
ジェローン・クラッベ Jeroen Krabbe
ヴェロニカ・ニッコライ Veronica Niccolai
ララ・カンポリ Lara Campoli
バルバラ・エンリキ Barbara Enrichi
ジャンナ・ジャンケッティ Gianna Giachetti





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2006年02月12日

2 月18日から公開『ルー・サロメ 善悪の彼岸 ノーカット版』

『ルー・サロメ 善悪の彼岸 ノーカット版』

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オリジナルは1977年製作にもかかわらず、日本公開は1985年だった本作。だが、日本公開バージョンはオリジナルではなく、40箇所以上のシーンがカットされた英語版だった。

今回、私たちが観ることができなかったそのオリジナルイタリア語ノーカット版が公開される。なんとも嬉しいことであるし、製作からなんと30年近くたっていることに驚かされます。

85年の日本公開時のタイトルは『善悪の彼岸』だったという。この邦題、実は気に入らないのだけども、「善悪の彼岸」という言葉自体は響きも哲学的な感じもいいですね。

なぜ気に入らないのかというと「善悪の彼岸」という言葉そのものは、この映画には全く何の関係もないからです。ルーサロメと恋愛関係になるニーチェが出てくるから、そのニーチェの著作から日本人がよく知っている言葉をとっただけです。それだけ。

この映画はやはり大人になってから観ないといけない映画ですねえ。もし10年前に観ていても全くもって理解できなかった気がします。
こういう大人による、大人の、大人のための映画、最近ないなあ。
久々に酔ったなあ。映画にではなく、この映画を堪能しちゃってる自分に。

なーんつて。


この映画のルーサロメを観ながら、私はフランス映画『年下のひと』でジュリエット・ビノシュが演じた女流作家ジョルジュ・サンドを思い出しました。
女性も家庭に縛られず自由意志で生きる、まさにモダンウーマンの走りであり、美貌も兼ね備え、男性たちからも愛され、称えられたミューズ。

『年下のひと』も以前レビューを書いた『復活』もほぼ同じ時代、19世紀末から20世紀初頭にかけての話です。

これらの3つの映画に共通するのは、女性が強くなったということですね。

ただ、ですね、リリアーナ・カヴァーニはルーのカリスマにはあまり興味がなかったのかなあと、考えざるをえなかった。なぜ、彼女が多くの男性からそれほど強く愛されたのか、肝心の会話などからはその知性が汲み取れませんでした。

それにルーよりも、彼女をとりまく男性たちの同性愛趣向ばかり念入りに映像にしているようにも思えたのです。

特に、ニーチェの気が狂う前にみる幻影「神と悪魔の踊り」が完全復活。二人の男性ダンサーがほとんど裸に近い格好で妖しい、はっきりいっておぞましい舞踊を踊ります。

これだけでなく、今回完全復活したシーンはどれもセクシャルなシーンなので、そういうシーンのインパクトが強すぎ、一番大事な「なぜルーがそれほど男性たちをとりこにしたのか」が逆に弱くなってしまったのではないか、とすら思いました。

ただ、今回のバージョンがオリジナルですからね。
ヴィスコンティの場合、自らゲイであったけれども、映画でここまであけすけに男性たちの交わりを描いたりしなかった。
なのに、女性監督カバーニは、どうしてここまで男性の肉体の交わりに固執するんでしょうか。

ローマの古代遺跡で男性たちが乱交を繰り広げる場面なども、今回復活したシーンですが、別になくてもよかったように思います。
が、ルーを愛したパウル・レーがこの乱交場面をみて、ルーに求婚します。ということは、男性が女性ルーにではなく、ルーに男性を見ていたのではないかという解釈が成り立ちますね。
(実際、ラストにそれを裏付けるセリフがある)


こういう才知と美貌を兼ね備えた女性が、近い将来男性を無力にしてしまうのではないか
という危機感がニーチェを狂気に走らせたという話なら、なかなか面白い解釈だとは思うけど、
その辺のつながりがなく、ニーチェがどうして狂気に走るのか?がよくわかりません。
ニーチェはサロメにふられた後、たった10日で「ツァウストラはかく語りき」を書いたのですが、その辺は全く映画には出てきません。


同性愛、退廃、狂気、ナチズムというのは『夏の嵐』でもカヴァーニが描きましたが、ナチズムのグロテスクを強調してみせたヴィスコンティに対し、リリアーナ・カヴァーニは、日本のボーイズラブコミックと底辺では通じ合う(コミックと一緒にするなと怒られそうですけど)、女性の男性に対する妙な幻想を感じてしまいます。
女性は、プラトニックな何かをそこに見出そうとしてませんか?

この映画を観ていて、途中からルーは主役ではない、パウル・レーが主役になっている気がしました。

死んだパウル・レーに「自分は女になりたかった」なんてセリフを吐かせるとは。
つまり、ルーは精神的には男だったといいたいのでしょうか?同性愛の趣向をもつ男性たちが男性ではなく、女の表面をしたその下には男以上の男だったルーに惚れたのですね、きっと。

ルー・サロメ 善悪の彼岸 ノーカット版公式サイト http://www.lou-salome.com/index.htm
2月18日より新宿K'sシネマほかロードショー
posted by マヤ at 22:37| Comment(9) | TrackBack(7) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月08日

踊れトスカーナ! IL CICLONE

踊れトスカーナ! (1996/93分) IL CICLONE

監督: レオナルド・ピエラッチョーニ Leonardo Pieraccioni
製作: ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ Vittorio Cecchi Gori、リタ・チェッキ・ゴーリ Rita Cecchi Gori
脚本: ジョヴァンニ・ヴェロネージ Giovanni Veronesi 、レオナルド・ピエラッチョーニ Leonardo Pieraccioni
撮影: ロベルト・フォルツァ Roberto Forza
音楽: クラウディオ・グイデッティ Claudio Guidetti
 
出演: レオナルド・ピエラッチョーニ Leonardo Pieraccioni
ロレーナ・フォルテッツァ Lorena Forteza
バルバラ・エンリキ Barbara Enrichi
マッシモ・チョッケリニ Massimo Ceccherini

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あらすじ
トスカーナ地方の携帯電話の電波も届かないようなのどかな街に住む会計士レバンテ(ビエラッチョーニ)の家に,旅のダンサー一座が迷い込む。なんと超美人フラメンコダンサーのご一行で、道に迷ってホテルをキャンセルされてしまったらしい。しかたなく彼らに一夜の宿を提供することになった一家の顛末を描くコメディ。


解説
解説するほどの映画でもないんですけど。

新年早々、トルストイとか熱く語ったら、その反動でヴァカ映画みちゃったよー。

だって、イタリアの片田舎にスペイン美女軍団が突如降り立ち(それがオリジナルタイトルのサイクローネつまりサイクロン=台風)、男がメロメロになるという、ただそれだけなんだよー!!!
Il-CicloneDVD.jpgほーら、こんな美女が。

「絵に描いたようなステレオタイプイタリア話」をどうやらイタリアでは人気者らしい主演のビエラッチョーニが、監督&脚本&主演の三役で大奮闘。
「やっぱ、人生こう生きなきゃだめっしょ」
「うんうん、そーだね」
と映画を観ながらひとりで自問自答し、その一方でトホホ感全開という見事な脱力作品だ。

水野晴郎先生すら迷作「シベ超」において、「戦争反対」という重いテーマを(一応)訴えていらっしゃるのに、全くこいつらときたら・・・、最後のオチはそれかよっ。

美女に出合って浮かれてる男がどうやってバイクに乗るか見たい方
この映画を観てください。

そしてその浮かれた男&バイクがどうなるか見たい方
この映画を観てください。

それってドリフみたいなベタギャクじゃん!

皆さん、落ち込んでいるときにこの映画オススメですよ。

主人公がヘンテコな日本語のTシャツ着てるんですけど、その意味が・・・爆笑。

ただ、なんてのか、きっともっと面白いんだと思いますけど、いかんせん字幕でみると面白さに意外性がないんですよね。

さて、この映画は、イタリア人とスペイン人がイタリア語とスペイン語でしゃべったとき、お互いだいたい何をしゃべっているか意味がわかるという貴重な(当たり前かもしれないけど、日本人は知らない)事実を教えてくれる映画でもあります。
これが韓国と日本だったらどうでしょう?
お互い何をしゃべってるかさっぱりわからないでしょう?
つまり、スペイン語とイタリア語は「訛り」を多少強くしたくらいの違いしかないということなんですねえ。


採点:★★★★(『復活』と同じ★の数・・・・いいのか?いいよ、だって好きなんだもん)


【参考サイト】
主演&監督のレオナルド・ピエラッチョーニの公式サイト(イタリア語なので全然わかりませんが、最近の写真はすっごい太ってオヤジ化してます)

http://www.leonardopieraccioni.com/home/home.html



posted by マヤ at 21:18| Comment(10) | TrackBack(2) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月14日

イル・ポスティーノ IL POSTINO 

『イル・ポスティーノ』IL POSTINO (1994年、107分、イタリア/フランス)

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監督: マイケル・ラドフォード Michael Radford
製作: マリオ・チェッキ・ゴーリ Mario Cecchi Gori 、ィットリオ・チェッキ・ゴーリ Vittorio Cecchi Gori 、ガエタノ・ダニエレ Gaetano Daniele
原作: アントニオ・スカルメタ Antonio Skarmeta
脚本: アンナ・パヴィニャーノ Anna Pavignano 、マイケル・ラドフォード Michael Radford 、フリオ・スカルペッリ Furio Scarpelli 、ャコモ・スカルペッリ Giacomo Scarpelli 、マッシモ・トロイージ Massimo Troisi
撮影: フランコ・ディ・ジャコモ Franco Di Giacomo
音楽: ルイス・エンリケス・バカロフ Luis Enriquez Bacalov
 
出演: マッシモ・トロイージ Massimo Troisi ,フィリップ・ノワレ Philippe Noiret, マリア・グラツィア・クチノッタ Maria Grazia Cucinotta,リンダ・モレッティ Linda Moretti,アンナ・ボナルート Anna Bonaluto

あらすじ
実在した詩人パブロ・ネルーダの実体験をA・スカルメタが本に著した原作を映画化。
1950年代のイタリア、ナポリの沖合いに浮かぶ小さな島。そこへチリからイタリアに亡命してきた詩人パブロ・ネルーダが滞在する。
老いた父と暮らし、漁師になるのを望んでいない青年マリオは、世界中から送られてくるパブロへの郵便を届けるためだけの配達人の職につく。パブロとの出会いで、詩の素晴らしさを知ったマリオは、一目ぼれした食堂で働くベアトリーチェという娘に詩を送ろうとする。

イタリアの喜劇俳優マッシモ・トロイージは、この映画の撮影が終わった12時間後にこの世を去った、まさに命の炎を燃やして映画に魂を吹き込んだ。
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【解説】
『ヴェニスの商人』のマイケル・ラドフォード監督作。本作の舞台はナポリです。
イタリア三部作でも作るつもりでしょうか。

『ヴェニスの商人』での、彼の女性の描き方が妙に気になったので、『イル・ポスティーノ』をそれと関連づけて論じてみようと思う。

主演のマッシモ・トロイージが命をかけて演じた役者としての生き様と、この映画の主人公が重なるとして、この映画は、感動作のように思われているが、私は、実は違うのではないか?と思っています。

確かに、生ききるということはどういうことかを問いかけた味わい深い作品である。
あまり書くとネタバレになってしまうが、もともと感受性が強い(そうじゃないと詩をつくろうなんて思わないでしょ)マリオは、詩人との出会いで人生を変えてしまった。

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そして俄然目覚めて、人生に漁師として生きる以外の生きがいを見出してしまった。
こんなマリオのことを、よかったよかったで済ませなかったところが、さすがマイケル・ラドフォードだと唸ってしまいます。

そこには重いテーマがある。

マリオは、美女に出会わなければ、意に沿わないとはいえ、ゆくゆくは漁師となり、つましく一生を送ったのではなかったか?

彼は、詩人との出会いで、目覚めてしまった。そして美しい女性との恋もそれに拍車をかけた。それがよかったのか、悪かったのか、これは観た人にゆだねられる。


答えは詩人の苦悶の表情に出ていると私は理解しました。

短い一生でも達成感を感じられたのならよかったと思うべきか。たぶん、普通ならそうだと思うのだろう。本作に感動した人はそこに感動したと思う。

しかし、私は、彼には静かな一生も合っていたのではないかと思わずにはいられない。
映画の後半近くまで、彼には幸運が舞い降り続ける。だが、それは彼にとって、残りの一生を静かに過ごすエネルギーを、運を奪ってしまったようにも思える。

だって、ベアトリーチェは本当に美しいですが、彼に合っていない。
ilpost3.jpgネタバレな写真ですかね?

魂とひきかえに力を得た彼に待ち受けていたもの。それがあのラスト。

パブロ・ネルーダは、自分がマリオに「知性」を与えたことを後悔しているように見えます。
何も知らず、ただ漁をしていたほうが彼にとっては幸せだったのではないか。
彼の人生を狂わせてしまったのは詩人の自分ではないか、その自責の念にネルーダは苦しんでいたのではないか。と思います。


この映画と『ヴェニスの商人』との共通項は、男が女に運命狂わされるという設定だと思うのは私だけでしょうか。








posted by マヤ at 22:47| Comment(13) | TrackBack(17) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月03日

ベニスで恋して (PANE E TULIPANI)

ベニスで恋して (2000)  原題:PANE E TULIPANI(BREAD AND TULIPS)
伊/スイス(115 分 )
監督: シルヴィオ・ソルディーニ Silvio Soldini
原案: シルヴィオ・ソルディーニ、ドリアーナ・レオンデフDoriana Leondeff
脚本: シルヴィオ・ソルディーニ、ドリアーナ・レオンデフ
出演: リーチャ・マリェッタ、ブルーノ・ガンツ Bruno Ganz 、 ジュゼッペ・バッティストン 、マリーナ・マッシェローニ

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【あらすじ】    
2000年のイタリアのアカデミー賞といわれる、ダビド・デ・ドナテッロ賞で作品、監督、主演、助演を含む9部門を独占したロマンチック・コメディ。
イタリアの地方都市ペスカーラに住む主婦ロザルバ(リーチャ・マリエッタ)は、家族旅行中にひとりはぐれて置いていかれてしまった。やっとのことで夫と連絡がついたが、冷たくされ、逆に怒られる始末。なんとかヒッチハイクで我が家へ帰ろうとするが、ひょんなことからベニスに辿り着いてしまう。

【レビュー】
オリジナルタイトルは『パンとチューリップ』なのに、相変わらず日本ではベタなタイトルで公開。
人間には生きるための糧が必要だ。一つは食べ物(=パン)。これがないと生きていけない。そしてもうひとつが、チューリップ。お花をもらった女性が見せる笑顔と解釈してよろしいでしょうか?人生を豊かにするものは何かというオリジナルタイトルも好きなんですけどね。

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イタリア映画は通常チネチッタとよばれる映画スタジオで映画を撮影するのだが、本作のシルヴィオ・ソルディーニ監督は、スタジオから出て各地でロケーションをする監督であるらしい。その効果が存分に発揮され、ベニスを舞台にした映画にまたひとつ傑作が加わった。本作はタイトルどおり水の都ベニスを舞台に繰り広げられる。

ベニスの食堂で給仕をする男を演じるスイス人俳優ブルーノ・ガンツが、北欧人の陰鬱さ、頑固さを好演。映画の見本のようなストーリー展開は、わかっているけど、見ていて気持ちがいい。人生に疲れている中年男女が、最後にはベニスで笑顔を取り戻す。

個人的にはママべったりのふとっちょ探偵が傑作キャラ。

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夫から全く相手にされない主婦ロザルバは、日本女性にも共感できるキャラクターだが、ラストがちと違うのだ。
年齢を問わず、恋をして、過去をすっぱり捨て、新しい人生を選択する潔さは、イタリアならではなのだろうか。それとも映画の中だけの話かな。
普通の主婦にしては、リーチャ・マリエッタは色気がありすぎるように見えますが。日本人だとペギー葉山さんっぽいです。

なお、シルヴィオ・ソルディーニ監督は、本作の後に『風の痛み』という映画を撮っています。冬のスイスの山間に住む亡命青年の物語で、これが同じ監督の作品かと思うほど対照的な作品です。
実は、監督の才気は、後者のほうの作品に表れているかもしれません。一般受けはしないけれども、また味わい深い佳作です。是非両方みることをお薦めします。別途ここでも紹介したいと思います。

採点
★★★★(わかりやすい話大好き)



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2005年10月14日

ドキュメンタリー映画 『聖パレルモの聖女』

『聖パレルモの聖女』

山形ドキュメンタリー映画祭で上映されたイタリア・ドイツ合作ドキュメンタリー。
シチリア・パレルモで毎年7月に行われる最大の祭り
聖ロザリオ祭りは、シチリアのガイドブックにも必ず掲載されているくらいの有名な祭りである。
詳細はこちらのサイトを参照
http://www.italia.gr.jp/citta/sicilia/palermo.html
聖女サンタ・ロザリアの遺骨をパレルモに移送したら、ペストの惨禍が収まったという奇跡をたたえて毎年盛大に開催される。

面白いのは、彼女の骨が入った棺が街を練り歩くというところだ。
日本で言うと御輿のように担いで通りを歩くのだ。
日本の神輿は神様が練り歩くが、もしかして日本の神輿の起源もそんなことだったのではないだろうか、そんなことを考えた。


イタリアはとにかく絵になる街だ。街並み、そこに住む人々を追うだけで、ドラマが成立してしまう。だから見ている私はそれ以上のものをどうしても望んでしまうのだが、本作はそれ以上のものがなかった。

シチリアを舞台にして、映像がモノクロというは、実験的だが、シチリアの魅力を消してしまっていると思った。
posted by マヤ at 16:30| Comment(3) | TrackBack(0) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月22日

ぼくは怖くない IO NON HO PAURA

ぼくは怖くない.jpg
『ぼくは怖くない』 IO NON HO PAURA
監督 : ガブリエーレ・サルヴァトーレス
製作 : マウリツィオ・トッティ
脚本 : ニコロ・アンマニーティ
原作 : ニコロ・アンマニーティ
音楽 : エツィオ・ボッソ
出演 : ジュゼッペ・クリスティアーノ , マッティーア・ディ・ピエッロ , アイタナ・サンチェス=ギヨン , ディーノ・アップレーシャ
2003年 109分

[あらすじ]
1978年、のどかな南イタリアの片田舎、5軒の家からなる小さな村に住む10歳の少年・ミケーレは、ある日遊び場の廃屋で奇妙な穴を発見する。なんとそこにはミケーレと同じ年齢くらいの少年が閉じ込められていた・・・。

ぼくは怖くない2.jpg

[レビュー]
幼い少年の純粋な心を通して「ある事件」をミステリアスかつノスタルジックに綴ったドラマ。時間が止まったかのような麦畑で近所の子どもたちと楽しく遊ぶ少年。静かに穏やかに物語は進行する。
原作は、本作で脚本も手掛けているニコロ・アンマニーティがイタリアの文学賞を受賞した同名ベストセラー小説。
フィクションだが、似たようなことはイタリアでは実際におこっているという。
この映画の時代設定が78年であることは注意しておく必要がある。
この年はイタリア人にとっては忘れようとも忘れられない年であるからだ。
1978年はモロ首相誘拐暗殺事件がおこった年。
過去ログ参照
http://myvoyagetoitaly.seesaa.net/category/469497.html

70年代後半はイタリア混迷の時代だった。
モロ首相誘拐暗殺事件とこの映画は直接関係ない。
一方は政治的事件で、こちらの映画は貧富の差が引き起こす悲しく残酷な事件だからだ。

しかしこの映画のラストが意味するもの。
それは無垢なもの、純粋なものの死を意味する。
この映画も、現実におこった事件も後味が悪いという意味で、いまだにイタリアに重い影を落としているのだ。

[採点]★★★

[関連サイト]
ぼくは怖くない公式サイト http://www.albatros-film.com/movie/bokukowa/


ぼくは怖くない3.jpg


posted by マヤ at 22:26| Comment(0) | TrackBack(5) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月12日

ペイネ 愛の世界旅行 Le Tour du Monde des Amoureux de Peynet

ペイネ1.jpg

[あらすじ]
フランスの人気画家レイモン・ペイネの世界をアニメーションにして映画化。ヴァレンチノとヴァレンチナと名づけられた“恋人たち”が、天使と悪魔が門番となっている天国への扉をたたくところから二人の「愛の世界旅行」は始まる。そこで世界中を自由に旅行できる<ラブ・パスポート>を手に入れた二人は、あるときは気球に乗って、あるときは飛行機にのって世界を旅する。

製作:ブルーノ・パオリネッリ BRUNO PAOLINELLI
監督:チェザーレ・ペルフェット CESARE PERFETTO
テーマ曲:エンリオ・モルコーネ
音楽:アレッサンドロ・アレッサンドローニ
というイタリアスタッフの手により映画化された。
製作年:1974

[レビュー]
NHK-BSで夜中に放映していたのを偶然鑑賞。1968年に製作されたビートルズのイエローサブマリンの影響をかなりうけていると思われる。
また、ベトナム戦争&学生運動などで盛り上がっていた当時のラブ&ピースの風潮が映画に反映されていると考えるべき。サイケでポップな色あいは今見ても愛らしく全く古びていない。

この時代と現代を比べて相変わらず世界で紛争は絶えていないことに心を痛めてしまう。
が、その一方で
現代のように当たり前に世界中を旅することが、まだロマンティックな体験だったころの
まだ見ぬ世界をみたいという純粋な憧れと、国家や民族ごとの文化の違いがまだ残っていた時代へのノスタルジーのようなものも今みると感じたりする。
現代はどこの都市に行ってもたいして変わらない風景が待っているから。

日本の描写は中国とベトナムを足したつたないものだし、その一方でTVとどぎつい看板やネオンがその趣を破壊している矛盾するふたつの側面が描かれている。

それにしてもヴァレンティノとヴァレンティアはラブラブすぎて、世界を旅行しながら、お互いしかみてないんじゃないか?
ヴァレンティナちゃん、ミニスカートが短すぎてパンツみえちゃってます。(白!)
途中からパンチラ(死語)が気になってあまりほかの記憶がないのだが、ある意味、愛(エロス)こそすべて!という力強いメッセージが隠されているんじゃないかと勘ぐったりしてしまった。

でも世界中を旅行した後「本当の愛は見つからなかった」という衝撃的な台詞が待っていた。
このアニメーションはがんばって最後までみてください。厳しい台詞が待ってますから。


ペイネ2.jpg




posted by マヤ at 10:56| Comment(6) | TrackBack(3) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月21日

黄金の7人 SETTE UOMINI D'ORO (1965)

黄金の7人.jpg
黄金の7人(1965年)
監督・製作・脚本:マルコ・ヴィカリオ
主演:ロッサナ・ポデスタ、ロッサナ・ポデッサ、フィリップ・ルロア、ガストーネ・モスキン、アドルフォ・チェッリ


[あらすじ]
ジュネーヴのスイス銀行に保管されている7トンの金塊を狙って展開される強奪作戦。
銀行の真向かいにあるホテルの一室に陣取った“教授”(P・ルロワ)から無線で指示が飛び、
6人の仲間が実働部隊として金塊を手に入れられるのか。

[レビュー]
ひとことでいうとルパン三世の元ネタ。とくに不二子のキャラは彼女からとっている。
映画は見覚えなくても、音楽を聴けばピンとくること間違いなし。
11PM(古っ!)のダバダバダ〜♪(音楽アルマンド・トロバヨーリ)といえばわかるか。
当時世界最高の美女とうたわれたロッサナ・ポデスタは、このとき31歳でしかも2人の子持ちだったそうだが、生活観ゼロの美しさ。これがイタリアンマダムだしょーー。
ひとつのシーンなのに、カットが変わるたびに衣装がかわってるもの、まあ御愛嬌だな。

アメリカでは教科書の題材としても使われているという映画『トロイのヘレン』(55)で、ヘレン役を演じたイタリア人女優。リタ・ヘイワーズなどが候補に挙がったのに、すべての有名女優を蹴落として監督のロバート・ワイズがロッサナ・ポデスタを選んだという逸話がある。
ロッサナ・ポデスタを知りたいならこの映画をみるべきかも。映画としての評価も断然、ブラピの『トロイ』より高いし。

さて、『黄金の7人』が優れているのはロッサナ・ポデスタではなく、「泥棒映画」としてプロットがしっかりしているところ。
6人の泥棒キャラもそれぞれ特徴が際立っていているし、下水道の工事といって、地下の金庫を裏側からこじあけ、秘密兵器が登場するなど、大仕掛け。それを横から奪い取るジョルジアという設定がまんまルパン。

ルパンを実写化する計画が進行中だが、この映画をリメイクすればいいんじゃないかな。
もちろん不二子はイタリア美女でお願いします。

ロッサナ・ポデスタは1964年から立て続けに、だんなの映画にばかり出演している。
だんながおれんちの嫁、きれーでしょーいーでしょーと自慢するためだけに出しているのがミエミエなんだが、まあそれもイタリアっぽくて許せてしまう。

黄金の7人以後、
凌辱の女系図(1987) 出演
女テロリストの秘密(1984) 出演
超人ヘラクレス<未>(1984) 出演
サンデー・ラバーズ(1980) 出演
あゝ情熱(1973) 出演
黄金の7人・1+6/エロチカ大作戦(1971) 出演

と、タイトルだけみたらエロ映画かVシネにしかみえん作品にばかり出演している。エロ映画といっても今見ると「お色気」程度のもんで、タイトルで勇んでレンタルすると絶対がっかりすることを保証します。
本来なら本格女優として演技に磨きがかかるって年齢に、どんどん「ただのおばちゃん女優化」していて、そのうちに観るも無残な太り方してスクリーンから消えていくってのが一般的なイタリア女優の進む道ですね。
その点、ソフィア・ローレンは素晴らしいですね。

私の採点:★★★★



posted by マヤ at 16:27| Comment(4) | TrackBack(0) | イタリア映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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