2005年12月01日

ヴェニスの商人の元ネタは中世イタリーの物語集

現在公開中の『ヴェニスの商人』はイギリス映画ですが、舞台がヴェニスであること、また元ネタがイタリアにあるらしいということで、このブログでも紹介しましょう。

venis1.jpg

シェイクスピアの『ヴェニスの商人』は1596年後半から翌年はじめにかけて書かれたものと推定されている。

この物語は4つの筋から成り立っている。
1)箱選び
2)指輪の紛失
3)人肉裁判
4)ジェシカの駆け落ち

これらの挿話には手本がある。

2)と3)そして1)も少し形をかえてはいるものの、
1378年セル・ジョバンニによって書かれた「イル・ペコローネ(阿呆)」という中世イタリーの物語集に既にあるお話だ。
この「イル・ペロローネ」とそのほかの散文や口碑を元に、シェイクスピアが直接に創作したのでなく、既に誰かが現代の筋とほとんど同様の脚本に仕上げたものに手を加えたというのが現在の定説である。

たしか『ヴェニスの商人』はユダヤ人を著しく差別的に描いているとして、一時期書籍として出版されなかった時期がありませんでしたっけ?しかし、その後再評価されたのでしょうか?私のうる覚えなんですが。勘違いかな?
初の映画化というのも、その辺の事情があるのではないかと思いますが。
日本で一番上演されているシェイクスピア戯曲なんですけどね。

マイケル・ラドフォード版の映画「ヴェニスの商人」は悲劇にかわってしまいました。あまり先入観なく今回の映画を見た人はきっと「悲劇」として本作を記憶することでしょう。

しか〜し、シェイクスピア研究者の分類では本作は喜劇に分類されます。
現にYahoo USAのmovieページではジャンルのところにcomedy&drama
って書いてるんですよ。
ポーシャが男装して裁判官になる法廷のどんでん返しと、締めくくりのロマンティックな場面。シャイロックをあまり悲劇的に解釈するのは誤りであり、彼は劇の中での「狡猾なユダヤ人」という設定に過ぎないというのが、新潮文庫の解説にも書いてあります。

映画版がもっとも喜劇から遠い理由は
1)アントーニオとバサーニオーの関係にホモセクシャルを漂わせたところ
2)シャイロックとジェシカの父親と娘の関係に余韻をもたせたラスト
3)狡猾なのがシャイロックでなく、ポーシャであるようにとれること
venis3.jpg
久しぶりにアメリカ女優の実力派が登場と思わせた好演


つまり、喜劇としての解釈では一番痛快な役を演じているとポーシャを、シャイロックより狡猾な存在に変えている(と私は見た)ところです。マイケル・ラドフォード監督は女が嫌いなんだろうかとすら思いました。
venis2.jpg演出中の監督左とアル・パチーノ

映画をみていて私はシャイロックに心から同情しましたから。かわいそーです、本当に。


それにしても見所は達者な俳優陣。
見事です。それに美しい英語。繰り返し聞いてお勉強したいと思います。

「落胆演技」をさせたら世界一のアル・パチーノの演技も絶品ですが、ジェレミー・アイアンズって歳とればとるほど素敵になってません?これだからラテン好きの私も英国男からは目が離せないんだよなー。
venis3.jpg

【参考文&サイト献】
ヴェニスの商人 福田 恒存訳 新潮文庫
『ヴェニスの商人』公式サイト http://www.venice-shonin.net/





posted by マヤ at 23:01| Comment(11) | TrackBack(29) | イタリア映画とりびあ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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